半世紀男のゆるゆるセカンドライフ

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【働き方】若手の初任給アップに思う、私たちの「低金利・共働き・総力戦」という勝ち逃げ戦略

最近、ニュースを見ていると「初任給の大幅引き上げ」という景気のいい言葉が躍っています。

正直なところ、今の若手社員の給与明細を見て「いいな、羨ましいな」と思う瞬間はあります。私たちの時代には考えられなかったような金額が、社会人一年目から支払われているのですから。

しかし、ふと自分の歩んできた道を振り返ってみると、実は私たちは「最高に効率的な時代」を駆け抜けてきたのではないか、という思いが込み上げてきます。

1. 「低金利」と「税制」を使い倒したローン戦略

今の若者が高い給料をもらっていても、同時に直面しているのは「物価高」と「上昇し始めた金利」です。対して、私が現役バリバリだった頃は、歴史的な低金利時代でした。

私は、その恩恵をフルに活用しました。 若いうちに住宅ローンを組み、まだ安かった不動産を手に入れる。金利が低いからこそ、元金の返済は驚くほどスムーズに進みました。

ここで効いたのが「住宅ローン減税」の存在です。 低金利で借りているため、支払う利息よりも、税金で戻ってくる還付金の方が多い「逆ザヤ」状態。国からお金をもらいながら家を買っているような感覚でした。この還付金を生活費に消すのではなく、さらなる資産運用の種銭に回す。これが私の「最初の勝利」でした。

2. 「共働き」と「アベノミクス」による超速完済

当時はまだ「専業主婦」という選択肢も残っていましたが、私たちは迷わず「共働き」を選びました。 二人の収入を合わせることで、大きなローンも、一人の肩に全てを背負わせることなく、ダブルエンジンで猛烈な勢いで返済していきました。

住宅ローン減税の恩恵を最大限受けられる期間が終わる頃、私たちは貯まりに貯まった余剰資金で繰り上げ返済を行い、わずか10数年でローンを完済しました。

そして、その勢いを加速させたのが「アベノミクス」の到来です。 2012年末からの株価上昇。ローンという重荷が消えた直後のタイミングで、浮いた住居費を全て投資に回したことで、資産は複利の力で爆発的に増えていきました。

3. コロナショックで見せた「家族総力戦」の決断

資産形成において、最大のフィナーレとなったのは2020年のコロナショックでした。 世界中がパニックに陥り、株価がまたたく間に暴落していく中、私は確信を持って一つの大きな賭けに出ました。

それは、「家族全員分のNISA口座開設」です。

夫婦の口座はもちろん、当時はまだ制度として存在していた「ジュニアNISA」を使い、子供たちの分まで口座をフル稼働させました。 アベノミクスで投資の成功体験を得ていたからこそ、「暴落はギフトだ」と迷いなく動けたのです。共働きで蓄え、ローン完済で身軽になった家計の余力を、一気に市場へと投下しました。

結果として、その後の「コロナバブル」とも言える爆発的な株価上昇は、家族全員の資産を劇的に押し上げました。子供たちの教育資金は盤石になり、私たち夫婦の老後資金も、当初の計画を大幅に上回るスピードで積み上がったのです。

4. 退職金、そして「自分という資本」への投資

早期退職。 長年勤めた会社から退職金を受け取った時、それは単なる「ご苦労様代」ではなく、新しい人生のスタートアップ資金に見えました。

ローンは消え、住む場所は確保されている。子供の学費の心配もなく、手元には家族全員で勝ち取った運用資産と退職金がある。 この「圧倒的な余裕」があるからこそ、私は今、リスクを恐れずに「起業」という選択ができています。生活のために働くのではなく、自分の情熱のために働く。これこそが、私たちが目指した「人生の上がり」の姿です。

今の若手が手にする「高い初任給」は、今の物価高の中では生活を維持するための「防衛資金」に近い側面があります。 一方で、私たちが手にしたのは、時代の波を読み、低利で借り、減税を享受し、家族総出で運用し、最後に社会から卒業証書(退職金)をもらうという、一連の完成された勝利の方程式でした。

5. 「いい時代だった」と笑って言える幸せ

確かに、今の若者はスマートで、初任給も高い。 けれど、低金利の波に乗り、共働きで10数年でローンを消し、アベノミクスで加速し、コロナ禍の暴落を「家族全員のチャンス」に変え、退職金で第2の人生を謳歌する。この一連の流れを完璧にこなせたことは、一世一代のプロジェクトを成功させたような達成感があります。

若手の活躍を眩しく思いながらも、私は自分の歩んできたこの「戦略的な人生」を誇りに思っています。

「なかなか、いい人生じゃないか」

起業したばかりの新しい事務所で、家族の笑顔が映る写真を見つめながら、私は静かにそう確信しています。