金融システム記事まとめ

金融系SE(金融エンジニア)がシステム関連のニュースをまとめるブログです

【システム障害】ゆうちょ銀行でシステム障害が発生、他行からの入金が遅延

2024年4月23日(火)日経Web版より

ゆうちょ銀行が23日、他行からの入金が遅延するシステム障害が発生していると発表しています

ゆうちょ銀行 他行からの入金遅延について

ゆうちょ銀行の発表によると、「システムトラブルのため、他行からの入金が遅延する事象が発生しております。現在、復旧に向けて対応中です。復旧次第お知らせいたします。」とのこと

障害は午前8時40分頃から全国で続いていて、午後3時時点でおよそ115万件の入金処理が遅延していると発表しています

2024年4月23日(火)15時30分までに当行に到着した振込につきましては、同日中にお客さまの口座に入金いたしました。(2024/4/24 8:00 更新)

ゆうちょ銀行の勘定系システム

Wikipediaによると、ゆうちょ銀行の勘定系ベンダーは、NTTデータ富士通メインフレームを利用)とあります。また、全銀接続用システムは旧大和銀行勘定系の「NEWTON」(IBMメインフレームを転用)とあります。

(日本の銀行の勘定系システム(都銀、ネット銀、信託銀行、地銀)銀行コード9900の行より引用)

ゆうちょ銀行と全銀システムのシステム障害

過去にも、ゆうちょ銀行は全銀システムとの接続部分で障害を経験しています。前回は「ハードウェア障害」と断定されたものの、詳細な原因は究明されていませんでした。

原因の詳細については調査中とのことですが、大量の振込失敗(受取人不明等)が発生したことによって、本来処理すべき他行からの入金が遅延した可能性があります。この原因として、振込失敗に伴う被仕向メッセージの大量受信による処理遅延が考えられます。

以上

【API】BaaSを拡大する三菱UFJ銀行、24年に紀陽銀行、東急リバブルにシステム外販

2024年3月6日(水)日本経済新聞本紙より

三菱UFJ銀行は、預金・融資や資産運用といった金融サービスを提供するBaaSを拡大するとのこと

ニュースのポイント

  • 三菱UFJ銀行がBasS事業を拡大、将来の新規顧客獲得の基盤に
  • 24年に、東急リバブル紀陽銀行にマネーキャンバスのシステムを外販
  • 不動産、電気・ガスなど、100社超の企業と異業種連携を協議中

三菱UFJ銀行、システム外販

三菱UFJ銀行は、預金・融資や資産運用といった金融サービスを「黒子」として銀行が外部提供するBaaS(バンキング・アズ・ア・サービス)を拡大する。

まず投資信託や保険を売るシステムを東急リバブル紀陽銀行に外販する。

さらに事業会社向けに預金口座の開設などができるスマホアプリも作り、100社超と導入協議する。

貯蓄から投資への機運の高まりを追い風に異業種連携を進める。

これまでの課題や背景など

BaaSは航空会社や百貨店に広がりをみせており、住信ネット銀行などのネット銀行がポイントなどを強みに先行してきた。

三菱UFJ銀行は、BaaS事業を将来の新規顧客獲得に向けた事業と位置づける。

東急リバブルの構想

マネーキャンバスのシステム導入に伴い、24年に新築マンションの購入者などが資産を運用できるサービスを始める。

紀陽銀行の構想

15日からアプリで三菱UFJ銀行と連携して金融商品を販売するサービスを始める。紀陽銀行の公式アプリやホームページから利用可能。

異業種連携、100社超と協議

過去にはNTTドコモのアプリで口座開設できるようにしており、同様のサービスを他の業種でも連携できるようにする。

不動産、小売りや電気・ガスなど100社超と導入に向けて、協議中している。

まとめ

いよいよ、銀行の営業(渉外)もアウトソーシングする時代に突入します

以上

【全銀ネット大規模障害】システム改修完了、障害発生から5カ月で正常化

2024年3月5日(火)日本経済新聞本紙より

銀行間送金網「全国銀行データ通信システム(全銀システム)」で、2023年10月に発生した障害に関するシステムの改修作業が4日、完了したとのこと。

ニュースのポイント

  • 2023年10月に発生した障害に関するシステムの改修作業が4日、完了した
  • 一部手数料を「0円」にする形で処理する暫定対応を続けてきていた
  • 次期システムは2027年の稼働を見込んでいたが、検討作業は一時停止中

次期システム更改への検討作業の再開について、実効的な事業継続計画(BCP)の確立やシステム人材の確保などを打ち出しているそう

以上

【基盤】金融機関で利用されるクラウドサービスまとめ

日本の金融系システムで使われるクラウドサービスは、主に以下の3つです。

1. AWSAmazon Web Service)

  • 国内外の金融機関で広く採用されている実績
  • 高いセキュリティと信頼性
  • 豊富なサービスと機能

2. Microsoft Azure

3. Google Cloud

その他

上記以外にも、IBM CloudやOracle Cloud、Salesforceなどのクラウドサービスも勘定系システムに利用されています。

  • みんなの銀行:国内初の銀行勘定系システムをパブリッククラウド環境に構築
  • 地銀共同センター:地銀共同利用
    の勘定系システムを国産クラウド

選定ポイント

勘定系システムにクラウドサービスを導入する際には、以下のポイントを考慮する必要があります。

  • セキュリティ:高いセキュリティレベルが求められる
  • 信頼性:システム停止などのリスクを最小限に抑える必要がある
  • コスト:導入コストと運用コストを比較検討する必要がある
  • 機能:必要な機能が揃っているか確認する必要がある
  • ベンダー:実績のあるベンダーを選ぶ必要がある

今後の展望

今後は、クラウドサービスの普及により、勘定系システムのクラウド化がさらに進むと予想されます。

まとめ

日本の勘定系システムで使われるクラウドサービスは、主にAWS、Azure、Google Cloudです。導入際には、セキュリティ、信頼性、コスト、機能、ベンダーなどのポイントを考慮する必要があります。

お読みいただきありがとうございます

【オープン勘定系】銀行の勘定系システムをクラウドへ移行!京都銀行ほか13行が参加

2024年2月9日(金)日本経済新聞本紙より

京都銀行など13行は8日、銀行の勘定系システムをクラウド技術を使った新システムに移行すると発表したとのこと

ニュースのポイント

京都銀行など勘定系をクラウドへ移行

京都銀行など13行は8日、銀行の勘定系システムをクラウド技術を使った新システムに移行すると発表した。4月から本格的な開発に着手し、2028年1月の稼働をめざす。メインフレームと呼ばれる大型コンピューターから脱却し、システムの保守・管理コストを削減。新サービスの開発や顧客の利便性向上に経営資源を振り向ける。

地銀のシステムセンターは計15のグループに分かれる

国内の地銀はシステムベンダー別に計15のシステムグループに分かれてシステムを共同利用している。13行は「地銀共同センター」と呼ばれる陣営に属し、NTTデータのシステムを使ってきた。

地銀共同センターの参加行は13行

京都銀行のほか、千葉興業銀行岩手銀行池田泉州銀行愛知銀行福井銀行青森銀行秋田銀行四国銀行鳥取銀行、西日本シティ銀行、大分銀行山陰合同銀行大分銀行が参加する。

銀行がシステム開発を進める背景

銀行がシステム開発を進める背景には、長年使ってきたメインフレームの技術者不足や事業者の減少、半導体不足によるハードウェアの価格高騰がある。

基幹システムをクラウド上で統合

NTTデータは22年11月、勘定元帳の管理など銀行業務の心臓部である基幹システムをクラウド上で一つに統合する構想を発表した。国内約40地銀と新しいシステムへ移行する交渉を進めてきた。

NTTデータ、統合バンキングクラウドの開発着手

NTTデータ社のホームページでもニュースが発表されています。バンキングシステム専用の国産、超高信頼製クラウドを利用するとのこと

まとめ

さらなるベンダーロックインの可能性。

以上

【決済】Olive(オリーブ)中高年層開拓 ~クレカ複数、アプリで切り替え

2024年1月30日(火)日本経済新聞紙面より

三井住友フィナンシャルグループ(FG)は2024年春から個人向け金融サービス「Olive(オリーブ)」の機能を拡充するとのこと

ニュースのポイント

  • 2024年春から個人向け金融サービス「Olive(オリーブ)」の機能を拡充する
  • オリーブの専用カード1枚で複数のクレジットカードを使えるようにする
  • 会員数の3割にとどまる中高年層の開拓をすすめる

これまでの課題は何?

中高年層などの既存の使い慣れたクレカを複数枚持つ顧客からは不満の声があった。オリーブで使えたのは加入時に新規発行したカードのみで、過去に作ったクレカは使えず、財布に入れて持ち歩く必要があったためだ。

解決策は?

24年春からはオリーブとは別に使っていた既存のクレカも登録できるようにする。利用者が持ち歩くのはオリーブの専用カード一枚で、決済前にスマホで番号を切り替えれば、登録した複数のクレカで決済できるようにする。

オリーブは、1枚のプラスチックカードの決済手段をアプリ上で切り替える「フレキシブルペイ」と呼ばれるシステムを採用している。ビザと三井住友カードが開発した世界初の機能という。

効果は?

日本クレジット協会によると、一人あたり平均3枚程度のクレカを保有している。年齢層が高いほど保有する枚数が多くなる傾向があるとみられ、多く持ち歩けば紛失リスクが高まったり、財布のスペースを多くとるといった課題がある。オリーブに複数枚のカードを登録すれば持ち歩く数を大きく減らすことができる。

今後の課題は?

リテール分野は楽天銀行の口座数が1500万をうかがう水準まで増えるなどフィンテックとの競争が激しさを増している。三井住友FGは昨年2月、オリーブの目標を「5年で1200万アカウント」としていた。目標を達成するには単純計算で年平均240万人を獲得する必要がある。

まとめ

私もオリーブ作りました。

以上

 

【DX】中小企業のIT化支援に特化した滋賀銀行の取り組み

2024年1月23日(火)ascii teamleadersより

「普通の銀行員が地元企業にDXを提案してみた」という滋賀銀行の取り組みが興味深かったので、ご紹介します。

ニュースのポイント

  • 中小企業のIT化支援、滋賀銀行デジタル推進室の取り組みを紹介
  • 中小企業は自社の課題を正しく言語化できていない場合が多い
  • 大量のExcelファイルをkintoneで巻き取る案件が多い

滋賀銀行の取り組み

滋賀銀行は、地方の中小企業のIT化支援に注力しています。具体的には、コンサルティングやソリューションの提供を行っています。また、中小企業の経営者と現場のギャップを埋めることも重要視しています。

滋賀銀行のデジタル推進室は、同行が掲げる「地域の持続的な発展」を実現するため、2020年10月に設立された部署だ。取引先の経営課題をデジタルで解決すべく、銀行として本腰を入れるために作られたという。もともと総合企画室でICT戦略の立案を行なっていた鈴木喜智氏がリーダーとなり、少人数からビジネスをスタート。業務フローとしては支店から上がってきた案件のうち、デジタルに関わる案件がデジタル推進室に渡され、支店の行員といっしょに対応するという流れになる。

これまでの課題

中小企業はIT化へのニーズが高いものの、課題もあります。その課題の一つは、IT企業とコミュニケーションが取りづらいことです。中小企業はIT化の課題を言語化するのが難しく、適切な相談先を見つけられないのです。

デジタル化だけがゴールでないだけに、解決策も千差万別というのが滋賀銀行のデジタル推進室の大きな課題だった。取引先の声に応えるべく、滋賀銀行のデジタル推進室は、3つのソリューションを用意した。具体的にピンポイントで決まっている場合は、100社以上の提携先とのビジネスマッチングを行なう。また、課題を深掘りすると人材の問題に行き着く場合は、採用や定着、教育などの活動につながるという。

解決策

滋賀銀行は、地元の銀行ならではの強みを生かして、中小企業のIT化を支援しています。具体的には、コンサルティングやソリューションの提供を行っています。また、中小企業の経営者と現場のギャップを埋めることも重要視しています。

なぜ中小企業がIT企業に行き着かないのか? これは自社の課題を正しく言語化できないからだという。「課題を言語化できないと、正しい解決策も思いつかない。正しい解決策が思いつかないと、相談先も思い当たらないんです」と井上氏は指摘する。

具体的な案件は

基幹システムから出力したデータを扱う大量のExcelファイルをkintoneで巻き取るような案件が多いという。

3年間でビジネスマッチング51件、コンサルティング79件の計130件の支援を実施。このうち案件管理、顧客管理、販売管理、固有業務など6割弱がkintoneによる支援になるという。「kintoneを推奨してきたわけではないが、結果的にkintoneを軸にデジタル化の第一歩を踏み出すお客さまが多いのが実態」と井上氏は語る。

今後の展開

滋賀銀行は、中小企業のIT化を支援することで、地域の活性化に貢献したいと考えています。具体的には、中小企業のIT化に関する情報発信や、中小企業同士の交流を促進する取り組みを進めていく予定とのこと。

滋賀銀行のデジタル推進室で起こっているのは、コンサルティング案件のリピートが増える一方、顧客課題がどんどんディープになっているという事態だ。「顕在化している課題を解決していくと、お取引先様すら見えてなかった潜在的な課題が浮かび上がってくるようになっています。こうなると案件の難易度も高い」と鈴木リーダーは指摘する。

kintone(キントーン)

kintone(キントーン)の運営会社はサイボウズ(4776)

業務を効率化するクラウドサービスで国内シェア高い。ノーコード強みのキントーンが主力。

まとめ

中小企業DXの半数以上は、EXCELからキントーンへの置き換え

以上