金融システム記事まとめ

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【渉外】みずほ銀行が広告ビジネス、サイバーエージェントと提携

2024年1月26日(金)日本経済新聞紙面より

みずほ銀行サイバーエージェントなどと組み、今年春をめどに広告ビジネスを始めるとのこと

ニュースのポイント

みずほ銀行が広告ビジネス

みずほ銀行は、自社ではなく取引先企業の広告支援を行う形態をとるようです。

銀行が持つ膨大な情報を生かし、企業が地域や属性を絞って広告を出せるようにする。ATMコーナーにあるデジタルサイネージやダイレクトメールの投函(とうかん)から始め、グーグルやフェイスブックにも広告を出稿できるようにする計画だ。

これまでのやり方は

自行の口座情報と国税調査などを重ねて地域ごとの年収などの情報を加工して提供していました。

みずほ銀行では約2300万の個人客が口座を持つ。銀行口座を出入りするお金の流れやクレジットカードの利用歴といった情報をもとに、国勢調査などを重ねて地域ごとの年収や決済額のデー タを加工のうえ提供して いる。

サイバーエージェントと組む

サイバーエージェントの事業内容を見ると「メディア事業、インターネット広告事業、ゲーム事業、投資育成事業」とインターネット広告事業を主要事業に掲げています。

1998 年の創業以来、インターネット広告事業を展開しており、広告効果最大化を強みに国内トップクラスの規模を誇ります。

みずほ銀行は広告に強いサイバーエージェントの知見を組み合わせ、新たな顧客を増やしたい企業のマーケティング活動に使えるようにする。

今後の展開は

ATMコーナーのデジタルサイネージやダイレクトメールを皮切りに、GoogleFacebookにも広告を出稿する予定です。

また、専用のコールセンターを設けることで、個人への配慮も徹底しています。

広告を始めるあたっては、専用のコールセンターを設けるなどして個人が受け取りや配信を拒めるようにする。

サイバーエージェント

サイバーエージェントは、メディア事業、インターネット広告事業、ゲーム事業、投資育成事業を主とする企業

まとめ

SNS広告は、ターゲティング精度が高く、費用対効果を高めやすいというメリットがあります。ただし、即効性はプッシュ型広告に劣るため、新商品やサービスの発売など、短期的な成果を期待する場合は、プッシュ型広告が適している場合もあります。

したがって、プッシュ型広告とSNS広告は、それぞれにメリットとデメリットがあるため、目的や予算に合わせて適切に活用することが重要です。

以上

【システム障害】みずほフィナンシャルグループへの業務改善命令、事実上「解除」

2024年1月23日(火)日本経済新聞紙面より

2021年2月から9月にかけ、計8回のシステム障害を起こしたみずほフィナンシャルグループへの業務改善命令が事実上解かれた。

今の課題は何?

2024年1月から施行された改正電子帳簿保存法(以下、電帳法)により、企業の経理部門などの負荷増が予想されていた。

改正電帳法により は1月から電子メールなどで受け取った領収書・請求書の電子保存を本格的に義務付けられた。不正があった場合には重加算税を課されたり、青色申告の承認を取り消されたりする可能性がある。経営資源が十分でない中小企業や個人事業主にとって負担は大きい。

電帳法の対策は?

これまでも領収書や請求書などの書類を読み込む機能を備えたサービスは存在していましたが、アップサイダーは、同時に20枚まで一度に読み込む機能を有します。

クレジットカードの利用明細との紐付けも可能なようです

アップサイダーは3月までにサービスを実用化し、従業員の経費精算に使う法人クレジットカードとセットで提供する。競合のサービスでも 領収書や請求書を1枚ずつ自動で読み込む機能はあった。アップサイダーは最大20枚を一括処理する点がポイントだ。

AIとアップサイダーが独自開発した技術を組み合わせて読み取り、法人カードの利用明細に対応する形で自動保存していく。法人カードの一機能として原則無料で提供する。

UPSIDER 事業内容

会社サイトの事業内容を見ると、法人向けのクレジットカードを手掛ける会社のようです。(非上場)

こちらの記事でも紹介していますので、ご参照ください

まとめ

中小企業のデジタル化は遅れており、いまだに手作業や表計算ソフトによる業務が半数を占めています。システムの導入コストに加え、使いこなす人材の不足も課題です。これらの機能が中小企業の経理部門の業務負荷軽減につながることを願っています。

以上

【AI】AI融資の進化に挑むGMOあおぞらネット銀行、法人口座10万口座突破

2024年1月17日(水)日本経済新聞紙面「育て振興 銀行が挑む 2」より

GMOあおぞらネット銀行(以下、GMO銀)が、ネット銀行の立ち上げからわずか5年で法人口座の累計数が10万口座の大台に達したとのこと

GMOあおぞらネット銀行

GMOあおぞらネット銀行は、あおぞら銀行GMOインターネット傘下のGMOフィナンシャルホールディングスが共同出資する銀行です。かつては信託銀行として営業していましたが、2018年10月1日付であおぞら銀行に信託部門を吸収分割しています。なお、あおぞら銀行が2018年時点で大株主ですが、金融機関としては別です。

GMOあおぞらネット銀行 AI融資

23年11月にはアルトア(東京・千代田)と連携して人工知能(AI)で審査を高速化して3000万円を上限に貸す制度を設けてます。

過去の記事でも書いていますので、こちらもご覧下さい

GMOあおぞらネット銀行 API接続

GMO銀のAPI接続は、国内銀行でナンバーワンの35ラインナップを誇ります。(GMO銀調べ)

基本は口座照会や振込などの金融取引に関するAPIですが、スタンダードAPI(無償)の中には、振込入金口座(バーチャル)の発行や、口座残高や入出金明細の通知といった機能も含まれています。

特に、振込入金口座(バーチャル)の発行は、ECサイトフリーランスの請求代行サービスなどの利用シーンで便利そうです。

GMOあおぞらネット銀行 ライバル

記事では、ライバルともされる住信SBIネット銀行の取り組みについても触れています

ライバルの住信SBIネット銀行は、企業から融資の要請が来る前に、AIを使って顧客口座の収支情報を分析し、あらかじめ金利などの条件をメールで知らせる「プッシュ型」融資を開発。2500万円を借りた振興企業経営者は「日本政策金融公庫を使うしかない」と思っていたが、面倒な書類もなしで借りられた」と話す

メガバンクも対応を急いでおり、三菱UFJ銀行みずほ銀行も同様の姿勢で取り組みを行っています。

過去の記事でも書いていますので、こちらもご覧下さい

以上

【AI】三菱UFJ銀行、自治体の紙文書を電子化するサービスを開始

2024年1月12日(金)日本経済新聞紙面より

三菱UFJ銀行(以下、三菱UFJ)は、自治体などの紙文書を電子化するサービスを年内に始めるとのこと

ニュースのポイント

  • 三菱UFJ富士フイルムRIPCORD社と連携
  • AI活用でホチキス外しなど自動化、精度とスピードを向上
  • 自治体の行政文書を電子化する案件を受託、他業種への展開も想定

課題は何?

紙文書の電子化は人手と時間がかかり、精度にも課題がありました。

銀行法改正で銀行が本体やグループで担える業務の幅が広がり、大手銀はIT(情報技術)分やなどの事業を広げている。

解決策は?

AIやロボットを使ってホチキスを自動で外して精度を上げる技術を活用します。

富士フイルムビジネスイノベーション(旧富士ゼロックス)と米スタートアップのリップコードの共同出資会社と連携し、人工知能(AI)を使ってホチキスを自動で外して精度を上げる技術を強みにする。

過去の記事をしらべてみると、2020年7月に「3億枚以上ある顧客の書類を全て電子化する」と発表しており、このときのノウハウを活用して他業種に展開するものと見られます。

効果は?

IT化することで、人手より速度もあるほかミスの量も減らせます。

提供するサービスでは電子化のコンサルティングや実行、管理を一括して担う。リップコードのスキャナーを活用し、AIで識別したホチキスをロボットアームで取り除いてページ数や文字情報も付与する。人手より速度もあるほか、ミスの量も減らせるという。三菱UFJ銀は顧客側から手数料を受け取る。

今後の課題は?

収益化の枠組をつくることで、他業種への展開が期待されます。

このほど自治体の行政文書を電子化する案件を受託した。事業化に着手し、近く協業先と収益化の枠組を固める。社内文書の電子化が遅れている中堅企業の利用も想定している。

富士フイルムRIPCORD合同会社

富士フイルムビジネスイノベーション(旧富士ゼロックス)と米スタートアップのリップコードの共同出資会社に「富士フイルムRIPCORD合同会社」があります。

主な事業内容として「紙文書のイメージデータ化およびデータ活用のための自動化やシステム連携を通じたデジタルトランスフォーメーションの支援サービス」とあります。

まとめ

元々は銀行内で取り扱う帳票や本人確認資料の電子化を目的としていたが、銀行法改正により他業種への展開が可能となりました。電子帳簿保存法(電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律)の施工も追い風となり、今後の展開が期待されます。

以上

【AI】三菱UFJ、中小企業向けネット融資を3倍に増やす計画!AI使い迅速

2024年1月11日(木)日本経済新聞紙面より

三菱UFJ銀行(以下、三菱UFJ)は、ネット上で手続きが完結する中小企業向け融資を2026年度に3倍に増やす計画とのこと

ニュースのポイント

  • AIで口座の入出金の状況や売上の傾向などを分析し、融資の判断を行う
  • 最短で申し込みの翌営業日に入金まで終える。融資額は最大1000万
  • 手続きはネットで完結し、会計ソフト大手とも連携する

これまでの課題は何?

これまで、支店を通じた中小企業向けの融資は縮小してきた経緯がありましたが、フィンテックに強い金融事業者への強い危機感があったようです。

三菱UFJが中小企業向けビジネスを強化する背景には、フィンテックに強い金融事業者の台頭への危機感があった。

店舗網の再編や採算面から大手銀の支店を通じた中小企業向けの融資は縮小してきた。同行は中小の新設企業のうち、口座を自行で開設する割合は5%程度にとどまると試算する。企業数ベースで8割に及ぶ小規模企業との取引が細れば将来の成長企業を逃しかねない。

解決策は?

AIを活用し口座の入出金状況や売り上げの推移の傾向を分析、融資の判断を行うとのこと。

人工知能(AI)やデジタル技術を活用し、これまで手薄だった中小企業との接点を増やす。売上高が30億円未満で営業担当者を配置していない中小企業をを主な対象とする。AIで口座の入出金の状況や売り上げの推移の傾向などを分析し、最短で申し込みの翌営業日に入金まで終える。融資額は最大1000万とする。

効果は?

三菱UFJはデジタル技術を活用すれば成長企業の支援と収益性の確保を両立できると判断したようです。また、会計ソフトの大手と連携し、口座の開設や融資の申し込みを受けることができます。

会計ソフト大手の弥生(東京・千代田)やfreee(フリー)と連携し、企業が設立登記後に早期に法人口座の開設を完了できる仕組みも導入する。両者の企業支援サイト経由で設立時前に申し込みを受け付ける。登記に一定の時間がかかるため、早期にビジネスを始められる利点がある。

今後の課題は?

中小企業向けの融資を増やすのに合わせて、新たに信用保証協会の保証付き融資もネット完結で融資できるようにする。

法人向けカードや関連会社を通じた売掛債権の現金化など複合的なサービス提供を組み合わせれば収益化の余地は大きいとみる。

融資とファクタリングの違い

売掛債権の現金化については、事業向けオンラインファクタリング「SHIKIN+(資金プラス)」というサービスを展開しています。運営会社のBiz Forward(ビズフォワード)は、三菱UFJとマネーフォワードの合弁会社です。

融資が「金銭消費貸借契約」であるのに対し、ファクタリングは「債権譲渡契約」といい売掛金を担保に融資を受けます。貸借対照表上の負債とならない事や、実行までの期間が短い点がメリットとなります。

まとめ

大手銀行がこれまで手薄だった中小企業向けの融資に参入し、AIを活用したスピード審査を推進しています。しかし、電子マネーやクレジットカードの普及により、口座情報だけでは企業の資金繰りや経営状況を正確に把握することが難しいと思うのは私だけでしょうか。

以上

【決済】イメージが変わる、タッチレス決済の導入期待 ~ JCB 新サービス開発へ

2024年1月10日(水)日本経済新聞紙面より

クレジットカード大手のJCB(以下、JCB)は、スマートフォンを決済端末に接触させず、スマホを持っているだけで決済できるサービスの開発を始めるとのこと

ニュースのポイント

  • スマホを持っているだけで決済できるサービスの開発を開始
  • JCB、りそなHD、決済端末のベスカが共同開発し、2025~26年度に実用化へ
  • 米アップルのIPhoneなどに搭載されている技術を活用する

これまでの課題は何?

多様化する顧客のニーズに対応するため、会計業務の効率化と不正防止が求められていた。

解決策は?

米アップルのIPhoneなどに搭載されている技術を活用する。りそなホールディングスや決済端末のベスカ(東京・港)と組み、25~26年年度の実用化をめざす。JCBは決済ネットワークを構築する。りそなホールディングスは本人認証のノウハウを提供するほか、開発したシステムを地域のスーパーなどに売り込む。

効果は?

スムーズで快適な決済体験を実現することで、顧客満足度の向上につながります。

実用化すれば、バックや衣類のポケットにスマホを入れたまま本人認証から決済までをできるようになる。たとえば顧客が来店すると、スマホと店舗の決済端末が連携して顧客を特定する。会計時はスマホを取り出すことなくレジ端末の画面で認証ボタンを押すだけで決済できる。会計時間短縮や不正抑止につながる。

今後の課題は?

単なる決済手段としてだけでなく、来店した顧客のニーズを把握し、それに応えるベストな提案ができるサービスが求められます。

店舗側は顧客のスマホから購買履歴を読み取れるようになる。来店時のスマホの情報から顧客を特定することで、勘や経験に頼ることなく、適当な商品を提案できるようになる。特定の商品の近くで立ち止まる顧客がいれば、スマホ上で割引券を配布して販売促進もできる。

ベスカ株式会社 決済端末

ベスカ株式会社(Vesca Co.,Ltd)は、マルチ決済が可能なのVerifone(ベリフォン)端末を日本国内で活用するためのプラットフォームを提供しています。(非上場)

Vescaは創業以来、会員カードの発行や管理、運用サポート、リアル(店舗)とオンラインの顧客情報の一元化、クレジットカードやポイントカードなど支払い情報と顧客情報の連携など、ペイメントとマーケティングに特化したソリューションを提供してきました。

まとめ

本人認証の方式や個人情報の取り扱いには課題があるものの、さまざまな業種への応用が期待できるサービスだと思います。個人的には、常に混雑しているイメージがある病院や薬局に導入されるといいなと期待しています。タッチレスで感染予防にもなりますし。

以上